広告はどこにどの程度の頻度で表示されるのかが重要です。しかし、検索結果の上位に出てくるというだけでWEB広告に成功しているとはいえません。重要なことは成果につながるかどうかです。

しかし、一部の広告代理店は言葉巧みに誘導し、リスティング広告で検索結果の上位に表示されることを売りにして営業活動をおこなっています。

リスティング広告では検索順位がどこか、ではなく、成果が出るかどうかという判断軸で出稿するべきであり、間違った広告運用をしてしまうと無駄なコストがかかることになり、機会損失にもつながります。

掲載順位を保証するサービスを売っている広告代理店は、特に地方の中小企業で、広告運用が不得意な会社をターゲットにしていることが多く、現在も被害は拡大しています。もし、現時点で順位保証をしているのであれば、すぐに契約を見直し、正しい運用をする広告代理店に相談するようにしてください。

広告の掲載順位保証

広告の掲載順位保証とは、リスティング広告を出稿した際に自社の広告が一番上(またはファーストビュー、上位4位までなど)に表示されるようにすることを保証することです。

一部の広告代理店ではリスティング広告の掲載順位を保証していますが、リスティング広告は、その仕組み上、設定した広告費の額により順位が決まりますので、一般に保証することはできません。しかし、それでも広告代理店のなかには仕組みを悪用して、掲載順位だけを保証することで新規契約を取っている営業が確認できています。

広告掲載順位保証のリスク

以前から掲載順位を保証する広告代理店は確認できましたが、弊社マスタープログレスのクライアントから掲載順位を保証する広告代理店の実態がヒアリングできましたので、ご紹介いたします。

問題点は大きく3つ

  • 成果の出ないキーワードを選定している
  • 広告費が高すぎる
  • 見せ方が悪質すぎる

月間5万円で特定のキーワードの上位化掲載を保証している内容でしたが、確認してみるととてもではありませんが成果が出ない契約となっていました。

成果の出ないキーワードを選定している

キーワードにはビッグキーワードミドルキーワードスモールキーワードと大きく3段階に分けられます。ビッグキーワードは検索回数が非常に大きく、検索結果の上位に表示されることでサイトへの流入数に大きく影響します。

SEO集客でビッグキーワードを狙う場合には非常に長い期間と綿密な戦略を立てて攻略をしていきますが、リスティング広告の場合には資金さえあれば即日、上位表示が可能です。これはビッグキーワードでも、ミドルキーワードでも、スモールキーワードでも同様です。

ただし、ビッグキーワードをリスティング広告で取ろうと思うと1クリックあたりの費用が高く、採算が合わなかったり、大手企業と資金力勝負を避けたりとミドルキーワードやスモールキーワードを狙ったり、敢えてキーワードをずらして運用することはあります。

広告運用には問い合わせや販売数を増やすという目標があることが普通であり、問い合わせにつながらないキーワードであれば、PDCAを回すなかで除外していくことで無駄なコストを避けるというのが正しい広告運用です。

しかし、掲載順位保証をする代理店は「掲載順位を保証」することを商品にしていますので、問い合わせがするかどうかという基準ではなく、掲載順位を保証しやすいスモールキーワードであることに拘ります。

極端な例では、広告を表示できていれば契約は守っているので、クリックされづらいキーワードを選ぶことで自社の利益を大きく出しているということさえあります。

広告費が高すぎる

実際に掲載順位を保証する代理店を利用していた会社は4つのスモールキーワードを契約していました。エリア名と掛け合わせたサービスをキーワードにしていましたが、月間検索回数は0回、20回、20回、70回と非常に少ないものでした。

しかも、この数値は全国での数値ですので、クライアントの地域に限定すれば0回、10回、10回、50回と広告としてはほとんど効果の出ないことがわかっているものです。

この4つのキーワードをそれぞれA、B、C、Dとしたときに、年間の広告費用がいくらなのかを次に試算しました。

キーワード月間検索回数想定設定費用年間広告費の最大値
A0回0円0円
B10回195円23,400円
C10回356円42,720円
D50回291円174,600円

月間検索回数と想定設定費用はGoogle広告のキーワードプランナーを利用することで確認し、単純に月間検索回数と想定設定費用を掛け合わせ、それに12ヶ月を掛けることで、それぞれの年間広告費の最大値を算出しています。

※キーワードAは検索回数0回、検索されないキーワードなので広告費用は掛かりません。

ここから4つのキーワードの年間広告費用の最大値の合計は240,720円とわかりますが、これは表示されたリスティング広告が100%クリックされた場合の費用です。

LOCALiQ社の調査(下表)によるとリスティングのクリック率はジャンルによるものの高くても10%程度であることがわかります。つまり、実際にかかった広告費用は年間で24,000円程度であると推測できます。

業界平均クリック率
アート&エンターテイメント10.67%
ペット6.45%
アパレル / ファッション & ジュエリー6.19%
法律3.84%
自動車販売7.93%
自動車修理5.39%
ビューティー&パーソナルケア5.44%
ビジネスサービス4.72%
キャリア4.72%
歯科サービス4.69%
教育5.46%
金融5.07%
家具5.73%
健康5.94%
住宅4.21%
産業5.34%
パーソナルサービス6.12%
医師6.11%
不動産7.75%
レストラン7.19%
ショッピング6.33%
スポーツ7.73%
旅行8.54%

参考:2021 Paid Search Advertising Benchmarks for Every Industry(WordStream)

実際の年間広告費用は約24,000円ですが、月間で5万円の契約を結んでいるので広告代理店に支払った費用は年間で60万円。なんと粗利だけで57万円以上を取っている計算になります。

一般的な広告代理店の手数料はかかった広告費用の20%程度ですので、仮に24,000円の広告費用であれば手数料は5,000円程度しかかかりません。つまり、本来であれば3万円程度で運用できるはずの広告に対して60万円を支払っていたことになります。(しかも、この契約は自動更新になっていました。)

※実際には広告費用が少額すぎるとクライアントにも広告代理店にもメリットが少なく、成果が出るような提案をするため、最低額はもう少しかかるはずです。

このように見ると運用を見直すことで広告費用を大きく押さえることができる可能性があります。

見せ方が悪質すぎる

掲載順位を保証する広告代理店がどのように利益をあげているのかを紹介しました。なぜこのようなことに気がつかないかというと、次のような3つの理由があります。

  • 運用レポートを出さないので気づかれない
  • 依頼主が広告運用に詳しくないので気づかれない
  • 「掲載順位の保証」をしているので契約違反ではない

一般的な広告代理店であれば運用レポートを月に1回は提出します。結果を見なければ、どの程度の投資に対して、どの程度の見返りがあったかがわからず、広告の継続や戦略の見直しなどの修正を入れるためです。

しかし、このような代理店は運用レポートを出すことはまずありませんので、依頼主が広告運用に詳しくないことも相まって気がつくのが遅くなります。

また、指摘したとしても代理店側としては広告を運用しているのではなく、掲載広告の「順位を保証している」ことを盾に契約違反はしていないことを主張してくることがあります。広告を運用するのは成果を生むためですが、成果ではなく広告が掲載されていることにコミットしているのでこのようにおかしな話になってしまいます。

マスタープログレスの広告運用

正しい広告運用となると状況により変わりますので一概には言い切れませんが、マスタープログレスではクライアントの成果に拘って広告運用をするようにしています。

特徴としては、広告デザインを決めて運用するのではなく、状況に応じて適宜変更をおこない、出稿後もPDCAサイクルを回し続けるため、数値を見ながら即時対応しています。特定のクリエイティブに固執してしまうと成果を見失うことになってしまいますので、あくまでクライアントの成果にコミットするようにしています。

広告代理店はクライアントの大事な資金を預かって運用することが業務ですので、顧客ニーズを追い求め、数字を出すのが仕事です。少なくとも、この努力は怠らないようにしています。

まとめ

広告代理店は信用できないといわれることがありますが、これは自社の利益だけを追う営業する代理店がある限りなくなりません。クライアントのリテラシーの低さを狙った悪質な行為といえます。

広告運用をする際には必ず、レポーティングをおこない、現在どのような数字になっていて、改善しているのか、悪化しているのかを確認しながら改善を繰り返す必要があります。

レポートを提出しない、数字の改善が見られない、広告がどのように出稿されているのかわからないという場合には、すぐに別の代理店に相談し、セカンドオピニオンを求めるべきです。

もし、あなたが現在の広告代理店に疑念を抱くようなことがあれば、是非マスタープログレスにご相談ください。成果にこだわった提案をすることをお約束いたします。

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