企業のホームページやECサイトなどにおいて、パーソナライズされたサービスを提供できるWEB接客ツールの市場規模が年々拡大しています。WEB接客ツールは、実店舗で接客するのと変わらないクオリティでWEB上でも接客でき、WEBページの離脱率を下げることができます。
またユーザーの満足度を上げ、購入意欲を高められることから多くの企業がWEB接客ツールを導入しています。
WEB接客ツールの市場規模の推移
WEB接客ツールは2015年以降、年々市場規模が拡大しています。WEBで買い物やサービスの申し込みをすることが多くなり、問い合わせフォームや電話ではなくリアルタイムでコミュニケーションを求めるユーザーが増えていることも市場規模拡大の要因になっています。
市場規模の推移
ITコンサルティングと市場調査をおこなっている株式会社ITRは、2018年のWEB接客市場規模推移を発表しています。
Web接客市場規模推移および予測
画像出典:ITR Market View:メール/Webマーケティング市場2018
上記のグラフのように、2016年から急激にWEB接客ツールの導入が増えていることがわかります。2016年前後は新規ベンダーが導入し始めた時期であり、急激に競争が激化しはじめました。さらに参入した新規ベンダーが成長を続けることにより、毎年WEB接客ツールの需要は高まっています。
市場規模の予測
WEB接客ツールの導入数は、2015年から2021年まで安定して毎年拡大しています。また日本のBtoC-EC市場も毎年拡大していることから、今後もWEB接客ツールの市場規模は成長が続くことが予想されます。
コミュニケーションツールの多様化
WEB接客ツールの市場規模拡大には、LINEやTwitter、InstagramなどSNSの普及が大きく影響しています。返信に時間がかかるメールや問い合わせフォームではなく、すぐに返答をもらうことができるチャットツールが好まれます。
またWEBで買い物をする人にとって、電話は面倒と考えるケースが少なくありません。そこでチャット機能や自分が求めるセール、割引情報を提供してくれるWEBサービスの評価が上がっています。
カスタマーサポートの省人化
WEB接客ツールの導入はユーザーのニーズに応えているだけではありません。企業側もチャットツールを導入することで、同時に複数人の顧客に対応でき、オペレーターの負担を減らすことができます。
チャット対応であれば、会員情報や取引履歴などを確認しながら、コミュニケーションをとれるメリットもあります。さらに営業時間以外でも、AIが自動回答することでより業務効率化を図ることができます。
WEB接客が重要な理由
WEB接客ツールがないECサイトやWEBページは、実店舗でいう接客がありません。そのためスタッフと話してから買い物をしたい顧客、ECサイトを見ていて不明な点を持ったままの顧客など、ECサイトはさまざまな顧客を逃すことがありました。
また顧客が他の店舗の商品と迷っている場合、接客が決め手となるケースも少なくないことが、WEB接客の重要性として評価されています。
スタッフと話したい顧客を獲得できる
実店舗でいろいろ話をしながら買い物をしたい顧客にとって、ECサイトであまり買い物したくないと考える人もいます。しかしWEB接客ツールの導入により、チャットでいろいろと話したり、不明なことを解決できることで購入意欲が高まります。
他社との差別化
同じような商品で同じような価格の場合、接客が決めてとなることは少なくありません。そのため接客の内容は企業の強みとなり、他社との差別化を図ることができます。また顧客にとって接客内容に安心感を持つことができ、リピーターとなる可能性が高まります。
顧客に適応した対応
WEB接客は実店舗と同じように顧客一人ひとりに合わせた接客が可能です。
例えば、顧客が年配の方でスマートフォンやパソコンに慣れていない場合は、電話への誘導をすることができます。初めて訪問したユーザーに対しては、初回割引の提案をすることも可能です。
このようにWEB接客ツールは顧客の満足度を上げ、購買率の向上に大きく貢献しています。
WEB接客ツールが売り上げ向上に貢献する理由
売り上げは購入者数×購入単価×購入回数で成り立っています。つまり売り上げを向上させるためには、多くの人に買ってもらい、より高い物を買ってもらい、そして何度も買ってもらうことが必要です。
多くの人に買ってもらうためには来店者を増やし、少しでも購入してもらうことが求められます。売り上げアップや多くの人に購入してもらうためには商品の良さ、ブランド力などだけでなく接客力も求められます。
WEB接客ツールでは、訪問者に対して必要な情報をポップアップで提供したり、チャットツールを設置したりすることで離脱者を減らすことができます。この時点で多くの人にWEBの内容を見てもらっているといえます。
さらに、ユーザーの悩みや不明な点などを解決したり、一人ひとりに適切なサービスの案内をすることで、購買率を上げ、購入者数を増やすことができます。
ユーザーの満足度を上げることでリピーターとなり、購入回数が増えます。関連する商品やサービスを案内することで、購入単価を上げることにつながります。
WEB接客ツールの市場規模が伸びている理由
WEB接客ツールの市場規模が伸びている最大の理由はECサイトの増加です。ECサイトを利用するユーザーが増え、ECサイトのユーザーはチャットやその他のツールでリアルタイムに有益な情報を求めています。
このようなユーザーの声に応えるため、より実店舗に近い接客をできるWEB接客ツールの市場規模が広まっています。また企業側からしても、ユーザーのニーズに応えることから購買数を増やすことができたり、ユーザーの声を聞くことにより商品開発に活かしたりするなどさまざまなメリットがあります。
ECサイトの増加
WEB接客ツールの市場規模の拡大は、ECサイトの増加が大きく影響しています。経済産業省の2020年7月に発表された日本のBtoC-EC市場規模の推移によると、2020年の日本国内におけるBtoCのEC市場規模は19.4兆円となっています。
この数字は前年比7.65%増となっており、また2010年以降BtoCのEC市場規模は年々増加しているのがわかります。
参照:経済産業省「電子商取引に関する市場調査の結果を取りまとめました」
ユーザーのニーズの変化
WEBサービスにおける従来の問い合わせフォームや電話では、即座にユーザーが必要な回答を得られないことが多く、WEBサイトから離脱する原因の1つとなっていました。
そこでWEB接客ツールを導入することにより、ユーザーごとにパーソナライズされた対応が可能になりました。
データの蓄積と分析
WEB接客ツールを使い、ユーザーの声を聞く機会が増えます。これらのデータを蓄積し分析をすることにより、今後のサービスや商品開発に活かすことができます。WEB接客ツールによっては、アンケートを取ることも可能です。
つまりWEB接客ツールは売り上げを伸ばすだけでなく、将来的な売り上げの向上にもつなげることができます。
まとめ
実店舗ではスタッフが店舗に来た顧客をサポートすることによって購買率を上げます。さらに顧客ロイヤリティーを向上させることによってリピーターを増やします。WEBページやECサイトのおいて、WEB接客ツールが店舗スタッフの役割をします。
WEB接客ツールは、スタッフのように顧客に対して接客方法を変えることが可能です。今後もWEBでの買い物やECサイト利用が増え続ける限り、WEB接客ツールの市場規模も増え続けることが見込まれます。
(参考記事)